メイジの悲劇嘆

なに、俺の運命がテメエを… デリートるって事だったって事だよ!
「いやしかし、覚悟を決めるときだ!リディオ、覚悟を決めるしかない!覚悟を決めるしかないんだ!」

私達、運命の迷い人なんです!」

運命に導かれ集った四人が、世界の崩壊を止めるために旅立つ本格派RPG。


・・・いや、ちょっと待てよ、という声が聞こえてきそうです。

スクショとゲーム内の文章を見ただけで「本格派RPG」というのが怪しくなってきます。


まず、これが主人公の降り立つワールドマップ。

狭っ!!?

驚きの狭い世界。

飛行船etc.が手に入れば、もっと広くまで旅をできますが、それでもあまり規模は広がりません。

最初からセーブデータ入ってる!!!???


自演じゃないです。本当にセーブデータが何個も入ってます。

なんだこの敵は!!???


どう考えても間違って塗った部分あるじゃん!!?

この「レビュー」コーナーに置いてあるゲームは、どれも名前が知られているものばかり。

市販でも通用するような絵、独特の戦闘システム、練られた伏線、感動で涙するラスト・・・。

 

スクショだけ見る限り、この「メイジの悲劇嘆(おそらく譚)」というゲームはそんな風には見えないぞ?と思う方も多いでしょう。

 

その通りです!!

自作システム?戦闘はデフォ戦だ!レベルを上げて魔法で殴れ!

感動のラスト?というほどでもない!

伏線?そんなものはない!

 

ではなぜ、このゲームが「レビュー」の中に入っているのか?

答えは簡単。

デフォ戦で、RTPの背景・マップで、感動のストーリーというわけでもないが、

このレビュー内の他ゲームと同じレベルの価値があると判断したからです。

 

長い前置きになってしまいましたが、このゲームの魅力について語っていきたいと思います。

簡単に3つに分けて説明します。

 

脳天を直撃するように滑り込んでくる会話・言い回し・演出

支離滅裂なのにわかりやすいストーリー

スクショだけじゃ伝わらない、プレイヤーへの優れた配慮

 

まず

デリートるって事だったって事だよ!」という名言(迷言)に始まり、どうしても忘れられなくなるインパクトの大きいセリフの数々。脳みそを掻き回されるようです。

何度もキャラ名が叫ばれるので、自然と名前も覚えていきます。

異様なアルファベットの使い方を始めとして、全てのセリフが、暗記したくなるほどに頭に押し込まれていきます。

驚きです。「真鍮の鎧」という単語の説明に「真鍮の鎧」を使う…!!!

こういった小ネタ・誤字脱字に、随時笑わされます。

 

狙いすまされた(もしくは天然の)誤字脱字。ボス戦前etc.の異常なほどのセリフ回しの上手さ。ラスボスの異様な背景。清々しいほど厨二病な武器・技・設定。

確実に心を奪われます。

続いて、②ストーリー


主人公は「運命救済者」としてこの世に呼ばれ、世界の崩壊を止める役割をもつ。

その道中で、様々な仲間たちと出会い、協力しながら仲を深めていき、様々な苦難を乗り越えてヒロインと結ばれる…。こんな、王道ストーリーのです。

一般的なRPGでは、これを深く味合わせるために何十時間にも引き延ばします(それが当たり前であり、批判しているわけではありません。)

仲間との交流を描き、主人公たちに感情移入できるようにします。

 

このゲームではそれがない。

 

交流やらなんやらは全て吹き飛ばす!!!序盤に出会ったのに終盤まで主人公とヒロインの運命を知らないで一緒に旅してるメインメンバーすらいる!なのに何故か最後には命を張っての協力!

「どういうことなの・・・」という感じですが、あまりにも話がサクサク進むため、違和感を覚えつつも楽しみながら進めてしまう。様々なRPGに慣れている方なら、この不思議な展開に笑い、驚きながらついて来れると思います。

 


③プレイヤーへの配慮

まず驚くのが、主人公の歩くスピード

速いです!!異常に速い!!

ツクール2000はダッシュ機能がついていないため、のろのろと歩くゲームがとても多いです。

そんな中、このゲームはすごい速さで歩いてくれる。次の目的地まで、苛々せずに一気に突き進めます。

 

次に謎解きの簡単さ

謎解きはほとんど無いに等しいです。スイッチを押すだけがほとんど。

「それってただの手抜きでは?」いいえ!!!

いろんなゲームをしてる方なら、こんな経験ないでしょうか?

――難しくてなかなか解けない謎解き。確認のために、何度もあっちこっち行ったり来たり。

メモを取ろうにも、文章が長くて面倒くさい。わからないから近くのオブジェクトを調べまくる。

その間に、雑魚と大量にエンカウントしてイライラ…!!

そんな苛立ちは不要!一瞬でわかる謎解き。メモは必要最低限。調べるオブジェクトもほとんどない。快適に次へと進めます。

 

最後に、目的地のわかりやすさ

このゲームでは、町やダンジョンの数が極限まで削られています。ストーリーに関係ないところなどありません。(一か所左上にありますが。)

だから、「次にどこにいけばいいんだろう…?一回言われただけじゃ覚えられないよ。あちこち回って町の人と話したけど、結局わからなくて嫌になった。プレイやめようかな

というRPGあるあるも起こらない!

元々自由度が高くて、どこに行っても良いならいいんです。

でも普通のRPGは、次はこの町に進まないとイベントが起こらない、という風になっている。

だから、一度迷ったら一気に移動の面倒くささが増してしまう。(ミニマップで確認できる、とかならいいんですが)

このゲームでは主人公の移動速度も相まって、迷う確率は相当低いです。

ストーリーを追えずにストレスを感じる事もありません。

厨二病なのに熱い男!主人公リディオ!!

名前がヤベエ長さ!TSUBASAのヒロイン、カルレイン!!

特技は自演!サンダァッ!!のブルー!!

問答無用で斬りかかる!偽名が多いラクティオハ!!


個性的という言葉で言い表せないキャラクター達。

一度この世界に入ってしまったら抜け出すのは容易ではありません。


異常さと計算高さを兼ね備えた、バカゲーの皮を被った名作RPG。

ぜひこの世界に溺れてみてください。

終盤のデータ。ここまでハマってしまうのです。

 

ちなみに続編「メイジの因果録」も出てます。そちらも素敵なキャラとセリフがたくさんなのでぜひ。ヒロインに「良い顔で寝てやがる」なんていう主人公はなかなかいないでしょう。

今作のキャラも出演します。

 

また、作者さんが三作目となる「メイジの転生録」も制作されてます。

序盤だけプレイしましたが、もはや完成度が上がりすぎてびっくりです。

なお、「悲劇嘆」のような根本部分の意味不明さはそのままなので、ご安心ください。


また、DLサイトを探す際には「メイジ悲の劇嘆」でご検索ください。

vecterさんに その名前で登録されております。(ツッコんだら負けだ!)