このゲームのスクショにはグロテスクな要素・血描写がふんだんに含まれています。
現在は一部のウェイトや誤字脱字に修正が入ったverも出ており、プレイアビリティの大幅な改善が図られています。特にセーブ前のウェイトが完全に無くなっているのは大きいです。初期verで心折れた方も、再プレイしてみてはいかがでしょうか。
このゲームの前作「ツインテ少女とケモミミ少女のちょっとハードな話」をクリアしていると更に話がわかりやすくなりますが、私は初見プレイの際には前作をプレイしていなかったので、前作なしでも十分楽しめます。
クリアまでのプレイ時間目安:8時間程度
「屍の山を築くダークファンタジー」という紹介文に偽りなし。
文句なしの鬱RPGです。
万人には絶対にオススメできない、けれどハマる人には忘れられないゲームになるでしょう。
主人公は"救世主"なる責務を負った青年。住んでいた村を離れて、戦闘員の揃う砦に連れていかれます。
しかしその後、彼はあらゆる苦しみを耐え、あまりにも悲惨で残酷な現実に立ち向かうことに…。
ストーリーは一本道構成。サブダンジョンがわかりやすく解放されており、
戦闘が厳しくなってきたらそちらでレベル上げをする、という方式です。
サブダンジョンも本編に関わる要素が多く含まれており、やって損はありません。
では 本題である、このゲームの大きな魅力を上げていきます。
まず一つ目。毒々しく、特徴的なマップ。
序盤で訪れる魔物の住処。顔のような模様の大岩が救世主を招き入れる。
メインのストーリーパートだけでなく、サブダンジョンのマップも凝っています。
ミンチ肉のようなものが溢れている。ここは一体…?
このような独創的なマップが数多く用意されており、旅路を陰鬱に彩ります。
二つ目に、グロテスクさを極めた異形の敵グラフィック。
序盤で目にする、魔物の巣。
これを切り刻むことが使命だ。
サブダンジョンのボス。臭気すら漂ってきそうな勢い。
そして三つ目、かつ最大の魅力。とことん救いのない、泥沼に沈み込むような感覚を得られる重いストーリー。
主人公ルイーズは、お供の二人を従えて魔物討伐に向かう。
しかし、ある敵を倒したのち彼の体に異変が起こる。
想像を絶する真実が彼を襲う――。
ここからストーリーは一転。ルイーズを取り巻く状況は目まぐるしく動き、容赦ない苦痛と死が迫りくる。
あまりにもあっけなく、おもちゃのように壊れていく人間たち。
「またメインキャラが死ぬ展開?飽きた」といった感情は抱かない。どの死もこちらの心を抉り、ベタつく気分の悪さを残していく。
このゲームの魅力は大きく分けて以上三点。
続いて問題点についてですが、これは度重なる改善によりほぼ無くなりました。
初期verではプレイ続行が億劫になるレベルのウェイトが入っていましたが、現在では気にならないもの。宝箱を取る際・仲間選択の際のワンテンポが少々目に付きます。
前verではクリア後に一度しか行けなかったオマケ部屋も、いつでも行けるようになりました。
戦闘は、味方を全回復するアイテムが(高額ではあるが)自由に購入できるため、 メインのストーリーでは基本的に詰まりません。
サブダンジョンは工夫をしなければ勝てない難易度ですが、うまく装備を工夫すればなんとかなる絶妙さ。
少しもったいないのは、前作「ツインテ少女とケモミミ少女のちょっとハードな話」をプレイしていないと感慨が半減することですね。私は前作を知らずにクリアしましたが、プレイ済みでしたらもっと入り込めただろうと思います。
更に"フリゲらしい"ですが、作者さんの人間観・世界への考え方が強く感じられます。また、終始主人公は無言のため感情が読み切れない部分があり(特に終盤)、行動に少々の唐突さを感じる場面も。
ですが、そういった面を踏まえても一見の価値あるストーリーです。
弄ばれて命を失う人々。蹂躙される穏やかな日々。誰かの犠牲の上に成り立つ仮初の幸せ。
この世に存在してはならない、異形の怪物が姿を現す。
歪んだ世界に、愚かな人間に、苦に支配された生涯に、離別と嘆きの連鎖に、
終止符を。
鬱グロに耐性がある方には有無を言わさずプレイしてもらいたい、
珠玉のダークファンタジーRPGです。